震災から1ヶ月が過ぎ、そろそろ魚釣りをしたい時期となってきたオイラ・・・
車に積んでいて津波から逃れた道具をゴソゴソと出し、釣り仲間と市内の川で竿を出した。
久しぶりの釣りに避難所生活でのストレスは吹き飛び、久しぶりに心の底から笑う事が出来た
この頃から、避難所内でのオイラの呼び名は『ハマちゃん!!』釣り馬鹿日誌の浜ちゃんからのネーミングでした。
避難所から釣りに出掛けたと言うのもあるが、最も大きな要因は、市内や東北11局ネットのケーブルテレビで放送されていた、フィシング倶楽部を見た人が多かったからでした。
心底釣りが好きな人と思われているらしい。
つかその通りです!!
それからさらに1ヶ月が過ぎ、桜の花も散り始めた5月の連休過ぎ・・・
オイラの本命フィッシュ!!サクラマスが気になる季節となってきました。
所が・・・津波で道具のほとんどを流出したオイラにサクラマスを釣る術は無く、ただ指をくわえて見ているだけの今シーズン・・・・
否!!
なんと釣り仲間から支援物資として、釣竿やウエーダーなどの物資が届いていたのでした!!
釣り馬鹿なオイラは早速避難所内で竿を出す。
これでオイラのサクラマス釣り魂に火が点いてしまった!!
早朝三時に避難所を抜け出し、県北の河川へ向けて車を走らせる。
ポイントへ向かう途中の見慣れた町は壊滅的な状況・・・
両石町内
田老町内
こんな中、釣りに向かうオイラに罪悪感を感じてしまった・・・・
ポイントに着くと予想以上に釣り人の姿があったのには驚いたが、それ以上に魚影の濃さに驚いていた。
実はこれも震災の影響なのです・・・
沖の定置網が全て壊滅し漁師の船も無いので、漁獲量が減少した分、河川へ遡上して来たのでした。
さらなる罪悪感を感じつつも竿を出したオイラ・・・
結果この日、見事サクラマスをGET!!
ここでオイラは考えた!!
これを避難所の皆で食べようと!!
本来なら焼き魚にしたいが、120人ほど居る中で焼き魚にしたらドンだけ薄切りにしなくちゃと考え、それなら味噌汁にすれば全員に行き渡ると考えた!!
避難所の炊事場で魚を3枚に捌いていると、炊事場はいつの間にか人だかりとなり『これハマちゃんが釣ってきたの?』『おいしそうだね〜』『焼いて食うべ!!』などと色々な言葉が飛び交った。
それもそのはず、震災後これだけ新鮮な魚を見たのは皆初めてなのです。
『明日これを味噌汁にするから!!』と言うと、飛び上がって喜ぶ人もいました。
そして翌日。
120人分に切り分けるとなると、一人小さなキューブ状態となったが、少しでもおいしく食べてもらおうと豆腐やしいたけなどの食材を買い入れ、見事120人分のサクラマス汁が完成した!!
久しぶりの調理と120人分の大量調理で目分量を誤り、かなり塩辛い味噌汁となったが、いざ配膳が始まり、サクラマスを口にした人々から出た言葉は『おいいしい〜』『久しぶりに魚汁食べた〜』『このしょっぱさ最高〜!!』などなど。
それもそのはず、ここまで見た事も無い関西風のインスタント味噌汁と、出汁のきいていない大根だけの味噌汁だけで過ごしていたからでした。
それに加え新鮮な魚の味噌汁となれば、浜で育った人たちはとてつもないご馳走なのです!!
ちなみに、一部の人には『しょっぺ過ぎるぞ〜』という人もいましたけど(笑)。
これに味を占めたオイラは、その後も釣れたサクラマスや被災で生簀から逃げた銀鮭を釣り上げ皆に提供し、最初のサクラマス汁ではキューブの切り身は徐々に大きくなり、避難者が半分近くになった時には大きな切り身となりました。
続く